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2015年8月6日木曜日

機材紹介 /​ 私は何故 Digital Performer を愛すのか?

ポコ太です。今回は思想と音楽について。

…といっても物騒な話ではありません。音楽ソフトウェアにおける設計思想のことです。



自分は制作体制をパソコンに移行して以来、DP(MOTU社の Digital Performer)をメイン・シーケンサー(DAW)としています。

Performer といえば、80年代~90年代は業界のデファクトスタンダードの一翼を担っていました。(遠い目)
Performer を使いたいからMacを買うというのが珍しくなかったのです。僕も当然の様にMacを選択し、Performerを購入しました。

それがいまや…(虚ろな目)

今回は、なぜ自分は今でもDPを使い続けるのかというお話。









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よく「いまどき、なんでDPなの?」と尋ねられる。
とりあえず「自分の制作スタイルはMIDIがメインだから」と答えておく。

一応今でも『DP = MIDI編集に強い』というのは定説として残っているようだ。…というか使ったことがない人には、もはやそれ以外にウリが無いようなイメージすら持たれている。

ただ "MIDI編集に強い" と言うと、なにか他のソフトウェアにはない凄いエディット機能が付いているように聞こえるが、そこに関してはいまどきのソフトウェアはどれも一通りのことが出来るし、どんぐりの背比べだと思う。

では、何が違うのか?
一つ、とてもシンプルな例を挙げてみる。





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実は15年くらい前、1年ほど別のソフトに浮気をしたことがある。当時いよいよ本格的なソフトシンセの時代が到来したものの、そちらの方面にDPはからっきし弱かったからだ。

乗り換えた当初はかなり文化の違いに戸惑ったが、半年もすればさすがに慣れた。

しかし1年経っても慣れなかったことがある。
それがMIDIのイベントリストだ。

まずは、現在の Logic と SONAR のMIDIイベントリストを見てみよう。(クリックで拡大します)





パッと見て、どこが和音か分からないのだ!

和音とは?などと論じ始めると趣旨からそれるので、ここでは『完全に同一時間上で発せられる2つ以上の音』と定義して話を進める。あくまで『単音』との対義語と考えてほしい。

Logic と SONAR。どちらも全てのデータが等価に並んでいて、それぞれが単音なのか和音を構成しているのか分かりづらい。



なにもこれは Logic と SONAR に限った話では無い。
こちらは最新版の Cubase のMIDIイベントリスト。




この通り、大差無い。
やはりパッと見て、どれが和音でどれが単音か掴みにくい。

画面右側で判断すればいいのかもしれないが、目線を左右しなくてはならないし、今度は逆に一見同時に鳴っているように見えつつ、実は数ティックずれているものがあっても気付きにくい。

(MIDIデータは数ティックずれただけで想定した音とは変わってしまうものがある。また、それを意図的に行う場合もある)



最後にもうひとつ、Singer Song Writer の後継である新鋭の ABILITY も載せておく。








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では DP のMIDIイベントリストはどうなっているか?(クリックで拡大します)




矢印の部分に注目してほしい。同一時間上のものは一つ一つの区切り線が消え、大きな塊として表示される。

音だけではなくコントロールチェンジやピッチベンド情報等も含め、同一時間上にあるデータが一目瞭然である。







お分りだと思うが、これはけっして技術的に高度なことしてるわけではない。やろうと思えば他のソフトでも簡単に出来るはずだ。

やろうと思えば簡単に出来ることを何十年経ってもやらないということはつまり、他のソフトウェアはMIDIのイベントリストを『データ』リストとして捉えているからだろう。

その点、DP は無味乾燥な数字の羅列になりがちなイベントリストですら、データではなく『音符』リストとして捉えている様に感じる。

実際、自分は鍵盤もマウスも触れることなくイベントリストにデータを直書きしていくこともままあるのだが、この表示方式のおかげで、今自分がどの位置にどんな音を打ち込んでいるのか、音を出さずとも迷子になった事はない。




このようにDPの良さはカタログスペックに表れにくい「ほんのちょっとした考え方・捉え方の違い」というものが多い。使っている者ですら普段は『良さ』として認識できず、他のソフトウェアを使って初めて逆説的に気付くというレベルだ。

なので、先のように「なんでDPを使っているの?」とか「オススメのシーケンサー(DAW)は?」と尋ねられても、なかなかズバッとは答えにくいのだ。



あえて言うならこうなる。「DPの設計思想が好きだから」





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なお、Pro Tools に関しては同じような表示に設定することが出来るようです。
MIDIに関しては弱いという印象があった Pro Tools ですが、ここ数年、かなりのスピードで進化を遂げているようで、自分としても注目しています。


というわけで今回は、ある程度以上の年齢の方達には絶大なブランドであり、ある程度以下の年齢の方達には「え?でぃーぴー、っすか??」などと二度聞きされてしまう、我が愛しのDPのお話しでありました。

音楽ソフトの設計思想については、また別のソフトについても書く予定です。

んじゃ、また。







6 件のコメント:

  1. DAWに慣れる前にDTMから離れてしまったので、
    単なるシーケンサーとしてのことしかわからないのですが、
    Performerを最初使っていて、その後とLogicに変えたら、
    ものすごく使いづらくて、Performerに戻したことを思い出しました。

    そのときは設計思想にまで考えが及んでなくて、
    なんとなくですが、MIDIに強いと今でも言われ、データではなく
    『音符』リストとして捉えているということが理由だったのかなあと
    このエントリーを拝見して思いました。

    ところで、フレーズサンプリングが世の中に浸透してきた頃(20年位前?)、
    自分はDTMについていけなくなったと感じ始めました。
    聴く分には別にいいんですが、作るときに、
    楽譜としてはものすごく単純ななのに
    いろんな音が鳴っているということに違和感があって…

    ポコ太さんも、MIDIデータ(=楽譜)と、
    鳴っている音が一致している方がしっくりくるのではないですか?

    すてきなたくらみ…いいですね!
    確かにチャカポコしてボサノヴァの邦題っぽいですね(オウム返し)~
    World Standard ぽい感じもしました。
    いつもとりとめのないコメントですみません。

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    1. 僕もまだWindows版があった頃、友達のLogicを触らせてもらったら、あっという間にenvironmentの壁が立ちふさがって、たじたじとなった記憶があります。見た目はすごくかっこいいと思ったんですけどね。

      Performerって、よくも悪くも「伝統的な作り方」をするための「マルチトラックレコーダー」ですよね。

      で、その伝統的な作り方をするためのソフトを使ってる僕は、つまり伝統的な作り方な人間なわけで、要するにその…まったくおっしゃる通りです。


      これはジャンルにもよりますが、僕はまず最初に頭に浮かんだものをはっきりとさせて、それを淡々と打ち込んでいくタイプです。

      この場合、ループって自分のイメージに近いものを選べば80点ぐらいまでは一気にできるんですけど、そこから先20点がなかなか近づいていかない。1つ2つならともかくその数が増えていけばいくほど、完成したときには自分の初期イメージとはかけ離れたものになってる。

      もちろん、それでいい曲ができるんだったらいいじゃないかっていう考えはあると思うんですが、僕のやりたいことではないかなと。もちろん、テクノ系のような偶然性が重要なジャンルもありますので、全部が全部というわけでは無いんですが。

      あと、これは別にエントリーしようと思うんですけど、僕はとにかくごちゃごちゃ音が鳴ってるのが好きなので(笑) ループみたいに一つだけで存在感のある音は、邪魔になっちゃうというのもあります。


      なんかネガティブなことばかり書いてますけど、ループ自体は嫌いじゃないですよ。ただおっしゃるように楽譜と鳴ってる音が一致してるほうがスッキリするタイプなのは確かです。



      >>チャカポコしてボサノヴァの邦題っぽいですね(オウム返し)

      しまった、あんなエントリー書くんじゃなかった。今後もらうコメント、全部本文のオウム返しだったらどうしよう(笑)
      World Standard みたいな素敵なもんではないですけど、一瞬でも耳を賑わせていただければ幸せです。


      NutRocker さんはDTMはともかく、演奏はいまでもされてるんでしょうか?
      また気軽にコメントください!

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    2. 散漫なコメントに実のある返信を頂いて
      有難うございます!

      演奏は、遊びで時々する程度です。現在、ピアニート公爵の「ようこそちょんまげ」を練習中。ELPの「悪の経典・第二印象」を死ぬまでに弾けるようになりたいです。下手なりに自分の人生にピアノがあってよかったと思っています。
      今、帰省中なのでじっくりピアノに取り組みたいところですが、実家(京都)が暑すぎてやる気が出ません・・
      というか、帰省中にまでこちらにお邪魔している私は
      かなりのポコラー(どなたかのお言葉を拝借)でしょうか。不気味だったらすみません(笑)
       
      ポコ太さんはピアノもお上手なので、打ち込みものだけでなく、生演奏の作品もまたこちらで紹介して頂きたいです。

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    3. えええ!?ちょっと待ってくださいよ!!
      僕、15日にTMN通史の管理人氏なんかと京都で会うんですが、予定が合えば是非ご一緒にいかがですか?

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    4. ええ!それはオタスケマンの歌と同じくらいの(笑)すごい偶然ですね。
      (ツイッターを拝見しました。15日の告知もされていたんですね!)
      ともあれ、お誘い有難うございます!
      15日、時間と場所によっては参加させて頂けるかもしれません。
      ツイッターをほとんど使っていないのでうまく連絡できるかわかりませんが、
      DMをお送りすれば詳細教えて頂ける様でしたので、後程ご連絡させて頂きますね。

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    5. DM、ドーンとお待ちしております!
      とは言え、まだ詳細は決めてないのですが(笑)

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